2010年1月19日火曜日

S0527_学校教育課程論

~使用教材~

『学校教育課程論』





~リポート作成の留意点~

下記の作成例では題意を間違えて作成してしまいました。「変遷」ではなく「編成」について書かなければなりません(笑)。
法令、教育委員会の基準を各学校主体の編成へ繋いで論じる必要があります。



~S0527_学校教育課程論_リポート作成例(評点:C)~

『教育課程とは何か その基準と変遷編成原理、今日的課題について』

Ⅰ.教育課程と学習指導要領について
教育課程とは、学校教育の目的や目標を達成するために、教育内容を生徒の心身の発達に応じ、授業数との関連において総合的に組織した学校の教育計画である。
各学校が教育課程を編成する場合には、学校教育目標の設定、指導内容の組織及び授業時数の配当を基本的な要素として検討しなければならない。またその基準は、学習指導要領の示すところに従うことを原則とする。
現在、学習指導要領は教育課程の基準に関わる法的根拠であるが、1947年3月に初めて制定されて以来、その基準は、社会情勢、教育問題、学力問題などによって変化している。
以下では、小学校の教育課程に着目して学習指導要領の変遷と教育内容の変化及び今日的課題について考察する。

Ⅱ.学習指導要領の変遷
○昭和22年 (1947年)
1947年3月に制定された最初の学習指導要領について、これは画一的な教育が意図されたものではなく、教育課程作成のための手引書として書かれたものである。したがって、法的拘束力を有するものではない。
しかし、教育課程作成のための基準は設けられており、それは次のようなものである。
教科は、国語・社会・算数・理科・音楽・図画工作・家庭・体育・自由研究の9教科である。ここで、民主主義的な社会形成のための良識や性格を身に付けることを目的として社会科が新設されている。また、男女共学の理念の下に家庭科は男子にも課せられ、個性尊重を目的とした柔軟な教育に対応するために自由研究が設けられている。
○昭和26年 (1951年)
昭和22年の学習指導要領は短期間に作成されたものであったため、昭和26年に全面改訂された。授業時間配当は時間数ではなくパーセンテージで決められ、また9教科に代わって4領域に再編されている。4領域とは、「主として学習の技能を発達させるに必要な教科」(国語・算数)、「主として社会や自然についての問題解決の経験を発展させる教科」(社会・理科)、「主として創造的要素を発達させる教科」(音楽・図画工作・家庭)、「主として健康の保持増進を助ける教科」(体育)である。
ここで、「自由研究」は「教科外の活動」に変更された。この「教科外の活動」は、委員会活動・児童集会・学級会及びクラブ活動を含み、児童が学級活動・学校行事に参加することを通じて、協調性・社会性を培うことを意図するものである。
○昭和33年 (1958年)
昭和26年の学習指導要領は、経験学習的カリキュラムである。この経験学習の弊害として基礎学力の低下があり、また青少年の非行、規律の低下などが問題となっていた。そのため、昭和33年の改定では、系統学習への転換が図られている。
教育過程の基準として、新たな4領域が再編され、各教科(国語・社会・算数・理科・音楽・図画工作・家庭・体育)、道徳、特別教育活動、学校行事等となった。また、学習指導要領の法的拘束力も強化されている。
教科について、青少年の非行の増加などを受けて社会科から道徳が特設時間として独立し「日常生活の基本的な行動様式の理解」、「道徳的心情と道徳的判断力の育成」、「道徳的実践力」を身に付けることを目標としている。また、国語・算数・理科については授業時間が増加し、基礎学力の向上が目指されている。
○昭和43~44年 (1968年~1969年)
昭和43の改定では、以前の4領域から3領域へと再編され、各教科(国語・社会・算数・理科・音楽・図画工作・家庭・体育)、道徳、特別活動となった。
教育内容は、科学技術の進展に伴い知識量が増大していることから、現在の必要性に応じてその内容を選び出すように変化した。
また、1960年代からの能力主義への警戒が見られる。これは、行き過ぎた能力主義の蔓延や人間性教育が等閑視された反省を受けたもので、学習指導要領においては「調和と統一」がテーマとして取り上げられ、道徳と体育が重要な役割を有することとなった。
○昭和52年 (1977年)
昭和52年の改定でも、能力主義の反省からゆとり教育の導入が図られている。具体的な内容としては、授業数の削減(体育、特別活動の時数はそのまま)や各教科での難解な内容の削除が挙げられる。
○平成1年 (1989年)
平成1年の改定での主眼は次の4点である。即ち、①心豊かな人間の育成、②自己教育力の育成、③基礎・基本の重視と個性教育の推進、④文化と伝統の尊重と国際理解の推進。
教育過程の基準は、従来の3領域としながら、各教科は(国語・社会・算数・理科・生活・音楽・図画工作・家庭及び体育)となる。ここで、第1・2学年における社会と理科を廃し、新たに「生活科」が創設された。この生活科創設は、小学校低学年において体験学習が不足しており、公民的資質を育成するという狙いが社会科において十分に果たされていないとの指摘に対応してなされたものである。
○平成10年 (1998年)
平成10年の改定における特徴は2つある。
1つ目は、完全学校週5日制の実施に伴う年間授業数の縮小と教育内容の削減である。学力観については、知識量重視から自分自身で学び考える力へ転換が図られている。また、この考える力には「基礎・基本の確実な習得」が必要である。
2つ目は、「総合的な学習の時間」の新設である(第1・2学年を除く)。教育課程では、各教科・道徳・特別活動に「総合的な学習の時間」が加えられて4領域となっている。
総合的な学習の時間は「生きる力」、即ち「児童生徒が、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力」を身に付けることを目的としている。したがって、具体的な学習内容は、児童生徒の興味関心に基づいて決定されるのが望ましい。また評価に関しては、数値的に評価せず、所見等を記述するのみが適当とされている。

Ⅲ.教育課程の今日的課題について
ここまでに見た学習指導要領の変遷から、日本の学校教育は1980年代までの詰め込み教育の反省を受けて、以降ゆとり教育へ転換されてきたことが分かる。
ゆとり教育における問題点として、授業時数の削減や学校完全週5日制の実施により生まれた「ゆとり」の時間の活用法によって、積極的に学習に取り組む子どもとそうでない子どもとの間で学力の二極化が進んでいることが挙げられる。また勉強することの意味について、戦後の高度経済成長を担うことを主眼としていた時代とは異なり、現代においては豊かさがある程度充足しており、学校に対する求心力が低下している現状もある。
児童生徒が主体的に学ぶ資質の育成を目的としている「総合的な学習の時間」であるが、教育政策と学校現場にギャップがあることと、教員が自ら率先してカリキュラム作成をできない現状の問題がある。
しかし、ゆとり教育を有益なものとするためには、総合的な学習の時間の有効な運用が必須であり、教員が学校組織の中で効率的なカリキュラム作成と運用をすることが重要であると考える。


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